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早期英語教育がもたらす悪影響はあるのか?私が出会ったバイリンガルたちの本音を紹介!

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日本人の英語下手を解消するために、今では小学校から英語教育を始めています。早い段階から英語に触れると英語力が向上するとの考えからですが、果たしてそれで日本人の英語力がアップするのでしょうか?

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少しはマシな英語を話せるようになるかも知れない

平成23年度より、小学校では外国語活動が必修化されて英語教育が行われています。2020年からは小学3年生から英語教育がスタートします。

○ グローバル化の進展の中で、国際共通語である英語力の向上は日本の将来にとって極めて重要である。アジアの中でトップクラスの英語力を目指すべき。今後の英語教育改革においては、その基礎的・基本的な知識・技能とそれらを活用して主体的に課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等の育成は重要な課題。

○ 我が国の英語教育では、現行の学習指導要領を受けた進展も見られるが、特にコミュニケーション能力の育成について改善を加速化すべき課題も多い。東京オリンピック・パラリンピックを迎える2020(平成32)年を見据え、小・中・高等学校を通じた新たな英語教育改革を順次実施できるよう検討を進める。並行して、これに向けた準備期間の取組や、先取りした改革を進める。

ご存知のように、日本人の英語下手は世界的に有名です。お隣の中国や韓国と比べても、日本人の平均的な英語力はかなり低いです。

そこで、英語教育の開始年齢を引き下げることで、「日本人の英語力が向上する」との判断なのでしょう。まあ、いまよりは「マシな英語を話す」ことができるようになるかもしれませんね。

早期英語教育などという無駄なことをする前に、「道徳」や我が国の「歴史」(自虐史ではない)を教えるべきだと思いますが、すでに決まったことですので、第三者の私がとやかく言ったところでどうなるものでもありません。

しかしながら、しっかりとした日本語能力を身につけるべき重要な時期に、大切な時間を使って英語を勉強することでどのような弊害が考えられるのか、私の経験を基にお話ししたいと思います。

私が出会ったバイリンガルたちの本音

アメリカで働いていた時の同僚の話

この男性は10歳の時に両親とともにアメリカにわたり、現地の小学校に編入しました。英語が全くできない状態からのスタートだったにもかかわらず、アメリカ人生徒と対等に英語で話すようになるまで1年かからなかったそうです。

ご両親が日本人ですので、この同僚の男性は家では日本語で会話をしていました。ただ、成人しても日本語の会話は可能でしたが、読み書きが苦手でした。日経新聞を読むのは苦痛に感じると言っていました。

彼はもちろんパーフェクトな英語を話し、そして、私から見れば完璧な英語を書いているように思えました。しかし、彼はある日、「俺が書いたレポートは、アメリカで生まれ育った人から『これってお前が書いたの?』ってよく言われるんだよ」と言っていました。

つまり、アメリカで生まれ育った人が読めば、彼の英語は「ネイティブが書いた英語ではない」と分かるそうです。

アメリカで育った歯科医師の話

この方は私がアメリカに住んでいた時にお世話になった歯科医師の方です。彼女は5歳の時に両親とともにアメリカに引っ越してきました。

それ以来、アメリカで教育を受けて歯科医師をされています。この先生は非常に流暢な日本語を話す方で、日本語の語彙も豊富な方でした。もちろんパーフェクトな英語を話される方です。

ある日、この先生が私に話してくれたことが衝撃的でした

「私はアメリカに永く住んで英語と日本語を話しますけど、学会に出席して他のアメリカ人歯科医師と話しをすると、自分の英語力が劣っているように感じるんですよ。つまり、日本語、英語ともに不完全なんですよね・・・」と私に話してくれました。

私からすれば完全にバイリンガルに見えた先生であっても、実際はそうではなかったのが大変驚きでした。

アメリカで子育てをしている日本人

アメリカで子育てをしている日本人を何人か知っていますが、皆、口々に「子どもをバイリンガルに教育するのは本当に難しい」と言っていました。

いくら家庭では日本語を話すようにしていても、難しい会話になると子供が話す言語は英語に変っているそうです。

また、きょうだいがいる家庭では、両親とは日本語で会話をしても、きょうだいどうしでは英語で話しているそうです。

早期英語教育肯定派の意見

早期英語教育に肯定的なある方は以下のように話しています。

韓国では1997年に小学校3年生から英語が必修化されました。それが韓国人の英語力向上の大きな要因になっていることは周知の事実です。そして、母語である韓国語習得への悪影響がなかったことも様々なデータから明らかになっています。

引用元: 小学校英語教育の早期化がもたらす影響とは?3年生から必修化、5年生から教科化する2020年に向けて

この方の言わんとすることは分かりますが、日本と韓国を比べるのはどうかと思います。

まず、「韓国人の英語力向上が韓国経済に良い影響を与えたのか?」と問われれば、今の絶望的な韓国経済の状況を考えるとそうとは言えないでしょう。

さらに、韓国では大学進学率が異常に高いため、優秀な成績と高い英語力がないとまともな企業に就職できません。知人の韓国人から聞いた話では、大学を卒業してもまともな就職口がないため、ファストフード店で働いてる人も少なくないそうです。

つまり、一流企業に就職できなかったら、その時点で自分の人生がほぼ決まってしまうため、皆必死になって英語を勉強するのです。

このような希望のない国と経済大国である日本を比べてはいけません。

余談ですが、私が大学や大学院で出会った韓国人クラスメートには、かなり頭の切れる人が多かったです。また、ビジネスで知り合った韓国人には肝の据わった人が多かったです。

彼らは祖国を捨ててアメリカに渡ってきたわけですから、根性の入り方がぬるま湯育ちの日本人とは比較になりませんでした。

両方の言語とも完全にするのはほぼ不可能

私は言語学者でも脳科学者でもありませんが、私の経験から、両方の言語を完全にするのはほぼ不可能だろうと思います。

となれば、どちらかの言語を完全にしておかないと、先述の歯科医師のように両方の言語が不完全な状態になりかねません。

きれいな発音で英語を話せても日本語能力が低いと、少し難しい表現を使った本を読むと理解できなくなるでしょう。知識を増やす唯一の方法は読書ですので、日本語能力が低い人はその後の人生において大変な苦労を強いられることになると思います。

この点について、ジャーナリストの丸谷元人さんが、「子供の頃から英語を学ぶと、30歳になっても中学生レベルの日本語しか喋れなくなる」というタイトルで動画を配信しています。

丸谷さんが動画で話していることは本当です。私もニューヨークで、稚拙な内容の日本語しか話せない気の毒な「バイリンガル日本人」を多く見てきました。

最近は特に「グローバル化」という言葉をよく耳にしますが、これまで日本企業はグローバル経済市場で劣勢だったのかと問われれば、そんなことはありませんでした。

1970年代以降、日本企業が海外に販路を拡大していった時には、日本人ビジネスマンが英語を駆使して世界で日本製品を売っていました。彼ら全員が英語ペラペラだったわけではないと思います。

実際、私がニューヨークで出会った日本人商社マンや銀行員たちは、日本語訛りの酷い英語を話していた人も少なくありませんでした。

ただ彼らは皆「エリート」と呼ばれる人たちだけあって、頭の回転が速く知識量も豊富でした。つまり、英語を話す以前に必要である「幅広い教養」や「論理的思考」を持っていたわけです。

彼らの「教養」や「論理的思考」は当然ながら日本語で養われたものです。

最後に、国語教育の重要性を訴え続けてきた数学者の藤原正彦さんの言葉を引用して、この記事を締めくくりたいと思います。

藤原さんのこの言葉は、「二十一世紀日本の構想」懇談会が小渕首相に提出した「長期的には英語を第二公用語とすることについて国民的議論が必要」との提言に対してのものです。

実際、英語を公用語としながら経済不振をかこつ国はいくらでもある。

そして何より、世界で最も英語のうまいイギリスは二十世紀を通して経済的に斜陽だったし、最もへたな日本は二十世紀を通して最大の経済成長をなしとげた。

引用元:祖国とは国語 藤原 正彦 (著)

私にはアメリカに永住している日本人の知り合いが多くいます。彼らはビジネスオーナーとして成功していますが、「TOEICのスコアは800点未満ではないか?」と思う人が結構います。

ただし、彼らは日本人としての強いアイデンティティを持っていますね。

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「英語が話せる人」の頭の中
英語が話せる人は、日本語を一語一句、直訳しようとはしてません。 英語を話す前に、できるだけ「シンプルな表現」に変換しています。 この「シンプルに変換すること」が、「英会話の大原則」であり、自分の言いたいことを、実際に口に出す前に、シンプルに、シンプルに、発想を変えていくということです。 英語が話せる人は、例外なく、これを体得しています。逆の言い方をすれば、これを体得しなければ、ずっと単語だけを連発する英語から抜け出せません。
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