ニューヨークシティに住む人たちは、自宅アパートに洗濯機を持っていません。そのため、ニューヨーカーたちは、自宅近くのコインランドリーで洗濯をします。
ニューヨークの住民はアパートに洗濯機を持っていない
8月21日の午後10時にNHKで放映された『ドキュメント72時間「ニューヨーク コインランドリーを劇場」』を観ました。
私自身も10年以上の長期にわたり、ニューヨークシティに住んでいましたので、なかなか面白い番組だと思いました。また、女優の吹石一恵さんのナレーションも良かったです。
「72時間」初の海外特集!舞台はニューヨークの片隅にある24時間営業のコインランドリー。住宅事情から多くの人が洗濯機を持たずに暮らすNY。人種も国籍も異なるさまざまな人がやって来る。豊かな暮らしを求めて中米からやって来た移民。服をたたむところまで係にお任せのエリート弁護士。日本のアニメが大好きだというオタク男性。ランドリーの3日間から見えてくるリアルなアメリカの姿。いつもより早い夜10時から放送。(Yahoo!JAPANのテレビ番組紹介欄より引用)
ロケーションの場所となったのはクイーンズ区のアストリアにある“Newtown Laundromat”というコインランドリーでした。
アストリアはギリシャ系の人達が多く住んでいることで有名な街です。ここは治安も良く、マンハッタンからも近いこともあり、人気のエリアです。また、日本食を扱うスーパーもあるので、日本人も多く住んでいます。
それではなぜコインランドリーがロケの舞台となったのか?
それは、コインランドリーは近隣住人が毎週必ず訪れる場所だからです。
つまり、コインランドリーに行けば、その街に住む様々なバックグラウンドを持つ人達と出会えますので、ニューヨーカーにインタビューするには絶好の場所だというわけです。
ニューヨークシティに住んだことがない方には信じられないことかも知れませんが、多くのニューヨーカーは自宅アパートに洗濯機を持っていません。
これは市の条例で禁止されているのか、万が一水漏れになり、アパートを損傷させてしまったら訴訟を起こされるからなのかは分かりませんが、一部の高級コンドミニアムや一軒家を除いて、多くのアパートでは自宅に洗濯機を置いていません(私の知り合いの方は、大家さんに内緒で洗濯機を置いていましたけどね)。
なので、ベースメントに洗濯機がないアパートに住んでいる人は、近所のコインランドリーに行くことになります。
コインランドリーに訪れる人には様々なドラマが
自由とより良い暮らしを求めて、毎年多くの人達がアメリカにやってきます。そして、人種も国籍も違う人達がニューヨークにやってきて、コミュニティを形成しています。
元々はギリシャ系住民が多かったアストリアですが、今ではこの街に住む人種は多様化しています。なので、アストリアのコインランドリーは、様々な人生経験を持つ人達の話を聞くには絶好の場所だったのでしょう。
NHKの取材班は、このコインランドリーに訪れる多くの人達にインタビュしていましたが、ラテン系(特にメキシコ系)の人が多かったように思います。
取材班は何人かのメキシコ系住人に「どうやってアメリカに来たんですか?」と問いかけたところ、ほぼ全員が「実は不法入国なんだよ」と明るい表情で答えていたのには少々驚かされました。
また、あるメキシコ系の青年は「自分はアメリカ生まれのアメリカ人だと思っていたんだ。しかし、高校卒業後、自分はアメリカ国籍じゃないってことを親から告げられたんだ」と語っていました。
この青年は、高校卒業後、ソーシャルセキュリティ番号(社会保障番号)を取得しようと思い、ソーシャルセキュリティオフィスに行ったところ、支給されなかったとのことです。
そこで不審に思い、両親にこのことを話したところ、彼の両親は彼が赤ん坊だった時に、メキシコからアメリカに不法入国したとのこと。しかし、彼は今では就労許可を得て、働いているとのことです。
そこへ、日本人らしき男女がコインランドリーに入ってきました。NHK取材班が「失礼ですが、日本の方ですか?」と日本語で尋ねたところ、男性は「はい。そうです」とのこと。
NYで何をしているのか尋ねると、この男女は約10年前にニューヨークにやってきて、男性の方はプロのカメラマンをしていることでした。この男性曰く、「アメリカは実力主義なので大変です。特にニューヨークは才能のある人が世界中から集まってくるので・・・」と話していました。
私はアート系の人間ではありませんので、どれほど競争が激しいのかは分かりませんが、ニューヨークでヘアメイクや美容師として活躍している日本人は結構いたように思います。やはり手先が器用な日本人としての特性を活かした仕事は有利なのだと思います。
なぜ彼らは流暢に英語が話せるのか?
話が少し脱線してしまいましたが、このコインランドリーでインタビューに答えていた非英語圏からやってきた人達は皆、英語でしっかりとした自分の意見を述べていました。
この番組を観ていた方で英語を理解する方でしたらお分かりだと思いますが、彼らが使っている英語は非常に平易なものでした。しかし、「平易=稚拙」ではありません。彼らが発した言葉はれっきとした大人の意見でした。
私のブログでは何度か述べていますが、平均的なアメリカ人が日常会話で使う単語の約90%は2000語程度だと言われています。また、一つのセンテンスも短いです。
これは英語という言語の特徴でもあるのですが、英語は「簡潔さ」と「明瞭さ」が求められます。つまり、英語においては「長い文章より短い文章を使い」、「難しい単語より、慣れ親しんだ単語を使う」傾向があります。
なので基本単語2000語と基本動詞の使い方、そして基本フレーズを覚え、さらに英語のロジックを理解すれば、これだけで言いたいことは何でも言い表すことが可能になります。
非英語圏から移民してきた人達が、私達日本人よりも少ない語彙しか持っていないにも関わらず、流暢に英語が話せるのは上記の英語の法則を理解しているからです。
日本人の英語学習者の多くは、この法則を理解せずに小難しい英語の用法を勉強しているので、いつまで経っても英語を上手く話すことができないのだと思います。