アメリカ人は幼いころからスピーチの訓練を受けているため、説得力のあるスピーチをする人が尊敬されます。アメリカでは自己主張せずに、曖昧な表現で話す人は尊敬もされないどころか、無視されます。
シンプルかつ訴求力のある秀逸な英語での受け答え
アメリカで生きて行くにはコミュニケーション能力が大変重要になってきます。一方、日本人同士では「阿吽の呼吸」が通用するため、曖昧な表現を使って話をしたり、自己主張しなくても普通に生きて行けます。
この日本人としての「良さ」を、そのまま海外に持ち出してしまうと大事な交渉で負けてしまったり、誤解を招くことになります。
ソニーの創業者の一人である盛田昭夫さんの英語インタビューで、盛田さんは論理的かつ説得力のある話し方をされています。このインタビュー動画はこれからアメリカ人相手にプレゼンをする方にとって、大変参考になると思います。
日本人ビジネスマンの気迫が伝わる英語
お聞きになっても分かりますように、盛田さんの英語はところどころ文法が間違っており、発音も日本語訛りが強いです。例を挙げますと”Video”が、”Bideo”となっていたり、”Then”が”Zen”となっていたりします。
でも、実際はこんなことは些末なことなんですね。個々の単語の発音よりも、アクセントとイントネーションを付け、ゆっくりと論理だてて話せば、アメリカ人の心に刺さるプレゼンができるんですね。
最近は英語でプレゼンをする日本人も増えてきていますが、チャラチャラと格好ばかり付けていて中身のない話を延々と続けている人ばかりのような感じがします。
しかし、盛田さんは「俺たちはこんなものを作ったぞ!」「どうだ!」と言わんばかりの自信に満ち溢れた表情で話しており、彼の英語には日本人ビジネスマンの誇りと気迫が強く感じられます。
これこそがアメリカ人に対して訴求力のあるプレゼンのお手本だと私は思います。
二流のアメリカ人を目指さない
「とにかく英語が上手くなりたい」「アメリカ人のような発音でしゃべりたい」と思っている方の多くは、英語の勉強が「目的」になってしまっていると思います。
英語の習得を目的にしてしまうと、思ったほど上達しないものです。日本人としてのアイデンティティをしっかりと持たず、また、日本の歴史や伝統文化の知識が浅い人が、いくら英語が上手くなったとしても「二流のアメリカ人」になるだけです。
そのような人は、ちゃんとした大人のアメリカ人からはまともに相手にされません。最初のうちは話し相手になってくれていたとしても、「中身のないやつだ」と思われると、そのうちに離れて行ってしまいます。
大抵のアメリカ人は気さくでおおらかでのですぐに友達になれますが、「友達付き合いしてメリットがない」と思われると、知り合い以上の深い人間関係には発展しません。
まあ、これは「自分中心」というか、「他人に依存しない」というアングロサクソン系の人たちの性格なのかもしれません。
まとめ
外国人から「日本ってどんな国?」と尋ねれて、きちんと答えられない人は日本人としての「芯」がなく、影の薄い人間に映ることでしょう。
日本人としてのアイデンティティがないまま英語だけ上達したとしても、アメリカ人とやりあう場面で「なぜか思うように物事が進まない」と気づく時が来ます。
その理由は、日本人としてのプライドが欠如しているため、へりくだった物の言い方になってしまい、知らず知らずのうちに相手との間に主従関係ができてしまっているからです。
「日本という国」そして「日本人」というものを深く理解していないと、いくらアメリカの歴史や文化を学んだり、きれいな発音で英語を話せたとしても、ちゃんとしたアメリカ人からは尊敬もされず、「そこそこ英語が上手く話せるアジア人」と見られるだけです。
これは本当にもったいないことだと私は思います。
でも、今の日本では、日本人としてのアイデンティティ確立や、論理的思考を養うために必要な教科を教える大切な時間を割いて、小学校から英語を教えているんですね。
「グローバル化に乗り遅れないために早期英語教育が必要である」という、英語ビジネスでカネ儲けをたくらむ連中が流布したプロパガンダを真に受けてしまうと、大変なことになります。
というのも子供をバイリンガルに育てるのはかなり難しいからです。詳しく知りたい方は、以下の記事をお読みください。
